ただ、守りたかっただけなのに
一方で恋菜は、余裕そうな笑みを浮かべ、

「あら、どうしたの?朔。そんな怖い顔して。
(しょう)くんならいないわよ」



朔がここに来た理由を、知っているのか、はたまた全く知らないのか。

彼女は、”あまり大したことではない” と思っているような口調で言う。



「そうかそうか。“どうしようもない息子” をおいて、父さんはどこに行ったんだろうねぇ?」




途端に恋菜の視線が、冷たくなる。

そこにいる全員が固まってしまうくらいの。

なんせ彼女は、“元姫” だ。

無理もない。

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