ただ、守りたかっただけなのに
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一方で、恋菜と響平は、というと…
下を向いて、すっかり落ち込んでしまった響平。
その真ん前に、微笑みをたたえながらも響平を睨む恋菜がいる。
彼女はゆっくりとしゃがんで響平を見つめる。
自分との約束を守ることができなかった、不甲斐ない弟に対して心底腹をたたているのだろう。
彼女の笑顔が、怖い。
蛇に睨まれた蛙状態になっている響平。
「響平、」
ゆっくりと、静かに言葉を発する恋菜。
「はぃ!」
反射で、情けない返事をする響平。