ただ、守りたかっただけなのに
「朔をお前に、頼んだはずだが?」 


ニコニコと爽やかな笑みを浮かべながら言う恋菜。

だが、彼女の背後からは、轟々と燃えたぎる炎が見える気がする。

ーそう錯覚させられるほど、彼女の威圧感は半端ではなかった。



「うっ」
と、言葉に詰まる響平。



無言の恋菜。

響平は、それを見て流石にまずいと思ったのだろう。


「ごめんよ、姉さん。俺なりに頑張ったつもりだったんだけど…。」

少し顔を上げて、恋菜を見る響平。


「姉さんとの約束を、守りたかっただけなんだ」



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