ただ、守りたかっただけなのに

呆れた顔をする響平は、舌打ち混じりに
「またかよ…」
と、つぶやく。

だが、その声は、周りの喧騒にかき消されてしまう。


一度ため息をついた響平は、教室内を見まわし、大きく手を叩く。

「静かに!」


一瞬で、静かになる教室。

生徒たちは皆、響平から顔を背ける。

居心地の悪い空気が教室内に充満した。



響平は、おそらくその気まずさを、自分が作り出してしまったのだと感じたのだろう。

苦笑いをした響平は、わざとらしく咳払いをする。

「っん、んん、…、、

では、朝学活を始める」


まだ気まずさが残りつつも、少し空気が和む。



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