そばにいてくれるなら
1
茜色に染まる景色

今日も1日が終わろうとしている

そんな中、誰もいない河川敷で
私は膝を抱えて、ひとり泣いていた


「…っう、ひっ、く…」


一年前のあの日から、毎日、毎日
ここで、泣いてる

1日、堪えていた分の涙を流す


誰にも聞かれず、見られず

行き場のないこの気持ちを

ひとりで静かに昇華する


今日も、そうして終わるはずだった



けど



「どうしたの?」



その日は違った



降ってきたその声に
びくりと肩を震わせ、恐る恐る顔を上げれば


「どこか痛いの?」


私のそばにしゃがみこんで
心配そうに眉を下げる男の人がいた


「…」


声をかけられたことにびっくりして
言葉が出てこなくて

だけど、涙も止められなくて
ぽろぽろ泣きながら、その人を見つめた


「……辛いことでもあった?」


こんな風に、心配されたのは
随分久しぶりで

いつも、そうさせないように
気を張っていたから


「余計なお世話かもだけど
話、聞くよ」


久しぶりに
誰かの優しさに触れて


ずっと、ひとりで抱えていた気持ちが
爆発してしまった
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