そばにいてくれるなら
――……


「……あの、りっちゃん」

「…」

「なんで怒ってるの?」

「…」

「俺、何かした?」



いつものテーブル席で、むくれる私

仕事終わりの速水さんは
隣に座ると、機嫌を窺うように
私の顔を覗き込んできた

ジト目で速水さんを見返すと
速水さんの笑顔が若干ひるむ


お昼の出来事があったから

こっちは、不安で、緊張して
ドキドキ怯えながら来たのに

当の本人は何事もなかったかのように
いつも通りだったから

なんだか、腹が立って



「……お昼のあれはなんですか」

「お昼?」

「意地悪ですか」

「えっと…」

「お友達の前だと
私と話したくなかったですか」



頬を膨らませながら
不満げに言葉を向ける私に
速水さんは、少し戸惑ったようにしながらも
ようやく、納得したような表情を浮かべた


「……私の事、嫌になりましたか」

「はい!ストップストーップ!」

「むぐっ」


涙目になる私を見て
ぎょっと焦った様子の速水さんは

テーブルの上に置いてあった
本日のおやつのマカロン

それを、私の口の中に押し込んだ
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