そばにいてくれるなら
「もうちょっと待っててね」

「はい」


いつものように、甘いおやつを頬張りながら
るいさんの仕事が終わるのを待っていると


かばんに入れていたスマホが
ちかちかと光っていることに気付いて


確認してみれば
らいさんからメッセージが届いていた



『きっと、喜ぶから
たくさん名前、呼んであげて』


【喜んでくれました
たくさん呼びます!】


小さく微笑みながら返事を返して
スマホをしまえば
タイミング良く、るいさんがやってきた



「お待たせ、りっちゃん」

「るいさん」



にこにこ笑って名前を呼べば
るいさんは、また嬉しそうに表情を綻ばせる



………この時の私は


るいさんが、大袈裟なくらい
幸せそうに笑う理由も


らいさんが、わざわざ
そんなメッセージを送ってきた本当の理由も


知らなかった


なんの疑問も違和感も感じず

ただ、一緒に過ごす
その時間を楽しんでいた
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