そばにいてくれるなら
4
――…



「…」


ベッドの上で横になりながら
ぼんやりと、壁にかけられたカレンダーを見る


……今日は、私と櫂君の生まれた日


また、櫂君を置いて
私は大人に近づいていく

どれだけ拒絶したくても
時間は止まってはくれない

なんて、残酷な世界だろう


痛む胸を押さえながら
沈んだ気持ちで起き上がって
身じたくを始めた





家でも、学校でも
みんなから貰う『おめでとう』に
笑って『ありがとう』を返す

明るく、元気に、嬉しそうに

必死に表情を繕って


でも、心の中では、ずっと

耳を塞いで
早く時間が過ぎ去るのを待っていた






「…」



苦痛で仕方なかった長い長い1日が
ようやく終わって

やっと、ひとりになれて
ほっと息をつく


『ごめんなさい、今日は
勉強会はなしでお願いします』


校門の前で
お昼に、らいさんに送ったメッセージを見て
深くため息をつく

今日は、るいさんの所にも
寄らずに帰るつもりだった
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