そばにいてくれるなら
ふんわりと柔らかい
オレンジ色の明かりが灯る


「すごいでしょ?
あんまり、知られてないけど
この辺穴場なんだよ」


あの、河川敷から少し歩いた場所

商店街の大通りから外れた通りに
立ち並ぶたくさんの店

大通りから少し離れただけなのに
雰囲気が、がらりと変わって驚く

通路を照らす柔らかい光…ガス灯も
そうだけど

外国の造りのものが多いから
まるで、知らない異国に迷い込んだみたい


「輸入雑貨の店とか
レトロな感じの店とか
たくさん集まってるから
見て歩くだけでも楽しいよ」


異国情緒漂うたくさんのお店に
圧倒されていると
その人は私に向かって手を差し出した


「覗いてこ」

「…」


その顔と、その手に交互に視線を向けて
それから、そっと無言でその手を取る



………似てる



警戒心を抱かせない人懐っこいその笑顔は



兄に良く似ていた
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