そばにいてくれるなら
「……りつも、強いと思う」

「え?」


眩しいものを見るかのように
らいさんは、私を見て呟いた


「片割れを失くす苦しさや辛さは
誰よりも解るつもり」


「だけど、俺は特殊で
他の人には認識できなくても
俺には見えるから、聞こえるから、話せるから」


「肉体がなくなっても
るいはそこにいたから
そこにいてくれたから」


「ひとりじゃなかったから
だから、俺は大丈夫だった」


「でも、りつはそうじゃない」


「真っ暗闇の中を、ずっと
ひとりでさ迷ってる感覚だったと思う
今も、そうかもしれない」


「それでも、必死に
前を向いて歩いて
頑張って、光を見つけようと
生きようと、あがいて」


「その場にうずくまってしまっても
何度も何度も、立ち上がって」


「傷だらけでも
たくさん泣いて、苦しんでいても」


「辛くても、今、「ここ」を生きてる」


「強いと思う」
< 52 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop