そばにいてくれるなら
6
「ごちそうさま。おいしかったよ
りっちゃん」

「喜んで貰えて良かったです」


ぽかぱかと、気持ちのいい青空の下

持参した手作りのお弁当とデザートを
おいしそうに食べてくれたるいさんに
満面の笑みを返す


「ん~、昼寝に丁度いいあったかさ」


河川敷に敷いたレジャーシートの上に
ごろんと横になる、るいさん

そんな、るいさんに
私は聞いてみたかった話を聞いてみた


「るいさんは
櫂君と普段どんな話をしてるんですか?」


るいさんからも、らいさんからも

霊体のるいさんが
櫂君とよく会っていると言う事実を聞いた私は

ふたりが普段
どんな会話をしているのか気になった


「ん?んー…お互い
らいとりっちゃんの話ばっかりしてる
自慢話」

「自慢話って…」

「ほんとだよ
ほら、俺もりっちゃんのお兄さんも
弟妹大好き人間だから」

「ここが可愛いとか、すごいとか
そういうことばっかり、話してる」

「……そうですか」


こそばゆいと言うか、照れくさいと言うか

櫂君は、本当に櫂君だなぁ…
と、苦笑を浮かべる

るいさんの言葉通り

生前の櫂君は、かなり私に甘々で
事あるごとに褒め言葉を向けられていた


「ずっと、そばにいたいねって話してた」


ふっと、るいさんの声が
少しだけ寂しげなものに変わって

笑みを消して
るいさんに顔を向ければ

るいさんは優しく私を見返した


「見守っていたいって
置いていきたくないって
ひとりにしたくないって、話してた」

「……るいさん」


まるで、別れの挨拶をするように

少しだけ、寂しそうに
だけど、どこか、ほっとしたように

るいさんは
微笑みながら、言葉を続ける
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