そばにいてくれるなら
――……


それから、私は
胸にぽっかりと空いた穴を埋めるように

寂しさを紛らわすように
度々、速水さんに会いに行った


速水さんは
あの商店街の大通りから外れた場所にある
カフェで働いていて

仕事終わりに
一緒に過ごすようになった


会う場所、巡る場所は同じ
会話も些細なもの

それでも、楽しくて

速水さんの纏う
柔らかい空気と表情が心地好くて

一緒にいて、安心できた



警戒心は最初からなかったけど
その判断は正しかった

速水さんに対する周りの反応を見れば
速水さんがどんな人なのか
その人となりが理解できた


困っている人がいたら
誰彼構わず、声をかけたり

面白そうなこと
楽しそうなことには
すぐ、首を突っ込んだり

思ったこと、感じたことは
素直に言葉にする

考えるよりも先に
体が動くタイプの人

喜怒哀楽の感情表現がストレートな人


お人好しで素直で優しくて


そんな速水さんが私は好きだと思った
< 6 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop