そばにいてくれるなら
――……


「ごめんね、りっちゃん
もうちょっと待ってて」

「大丈夫ですよ」


バイトの子が遅れているみたいで
代わりに残って
お店の手伝いをしていた速水さんが
テーブル席に座って待っていた私に声をかける

笑って言えば
速水さんは持っていたトレーから
カラメルソースと生クリームがたくさんの
美味しそうな手作りプリンを私の前に
差し出した


「ありがとう
これ、食べて待ってて」

「わぁ、ありがとうございます」


なんとも魅力的なプリンに目を輝かせれば
速水さんは笑って手を振って
仕事に戻っていった


出されたプリンをさっそく頬張る


…美味しい!


口の中に広がる、程よい苦味と甘さ


思わず顔がにやける



速水さんが働いている、このカフェは
デザートはもちろん、料理も絶品

種類もたくさんだから
来る度、目移りしてしまう

私も、バイトしてるし
知り合い価格で安くして貰ってるから
お財布的には問題ないけど…


「…」


前より、ほんの少しだけ
きつくなったように感じる
スカートのホックを抑えて

そっと、目を伏せる



……こっちは少し考えないとな…
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