トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

授業には問題なくついていけそう。

 その後、数々の授業を受けたけれど問題なかったわ。召使の授業って思っていたよりも楽しかったわ。魔術師の授業よりは専門的なこともないしね。

 掃除やお茶の()れ方、主人の着替えやお風呂の準備、すべてわたくしの侍女がやっていることを真似したら、なかなかの高評価を得られた。

「マーセル、それだけの実力を、今まで隠していたんですか?」

 敬語だけど、棘のある言葉をクラスメイトに投げられた。しん、と静まり返った教室の中で、彼女の声はよく響き渡り、他の人たちもこちらを注目している。

「魔法も使えないフリをして……楽しかったですか? わたくしたちがあなたを見下しているのを知って、反抗しようと?」
「……それは、貴女(あなた)たちに黙っていじめられていなさい、と言うことでしょうか? 貴女、本当に我が国の貴族ですの?」

 呆れたように彼女を見れば、カッと顔を紅潮させて手を上げる。それを止めたのは、一人の少女だった。厳しい表情で彼女を見ている。……止めたのは、わたくしのためではなさそうね。

「見苦しい真似はおやめになって。今日のマーセルが本当に実力を隠していたのかどうか、あとでわかることですわ」
< 17 / 64 >

この作品をシェア

pagetop