トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
……というか、どうして誰も答えないの? 知らないわけではないのでしょうけれど、先生が指名しないから?
「ええと、教科書に書いてありますよ? わかりますよね?」
「先生、指名していただかないと答えにくいですわ」
「あ、そうですね。では、マーセルさん、答えをどうぞ」
思わず先生に声をかけてしまった。歴史の先生は今年入ってきたばかりだから、こちらもフォローしないと。
わたくしが答えると、ざわっと一瞬騒がしくなった。それもそうでしょうね。マーセルのテキストは読めないほどに汚されているのだから……家庭教師に教えられていたから、答えることができた。
「はい、正解です。ホーマ地方は人の手が入らなくなり、住んでいた人たちはそれぞれ移住しました。現在ではホーマ地方は呪われているとか、魔物の生息地とか言われています」
人が生きることができない土地に、魔物は生息できるのかと問われると、謎は残るわよね。それにしても、本当にテキストが読めないわ。
これだけの嫌がらせを受けながらも、マーセルは戦う道を選んだ、ということ?
マティス殿下に庇ってもらえば、白い目で見られるでしょう。媚びている、とも言われるでしょう。それでも彼女は、マティス殿下の傍にいることを望んだ。
もしかして、マーセルは本当に……マティス殿下のことを好きになったの?
だからこそ、この嫌がらせを甘んじて受けていたのかしら?
「ええと、教科書に書いてありますよ? わかりますよね?」
「先生、指名していただかないと答えにくいですわ」
「あ、そうですね。では、マーセルさん、答えをどうぞ」
思わず先生に声をかけてしまった。歴史の先生は今年入ってきたばかりだから、こちらもフォローしないと。
わたくしが答えると、ざわっと一瞬騒がしくなった。それもそうでしょうね。マーセルのテキストは読めないほどに汚されているのだから……家庭教師に教えられていたから、答えることができた。
「はい、正解です。ホーマ地方は人の手が入らなくなり、住んでいた人たちはそれぞれ移住しました。現在ではホーマ地方は呪われているとか、魔物の生息地とか言われています」
人が生きることができない土地に、魔物は生息できるのかと問われると、謎は残るわよね。それにしても、本当にテキストが読めないわ。
これだけの嫌がらせを受けながらも、マーセルは戦う道を選んだ、ということ?
マティス殿下に庇ってもらえば、白い目で見られるでしょう。媚びている、とも言われるでしょう。それでも彼女は、マティス殿下の傍にいることを望んだ。
もしかして、マーセルは本当に……マティス殿下のことを好きになったの?
だからこそ、この嫌がらせを甘んじて受けていたのかしら?