トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

休日で良かったわ。

 あのあと、わたくしはレグルスさまに先に屋上から戻ってもらった。混乱した頭を整理するためにも……

 自分が公爵家の血筋ではないことを知って、愛されなかった理由を理解してしまった。

 それはとても悲しくて、寂しいことだったけれど……知って良かったと、思っているの。

 マーセルとマティス殿下が婚約すれば、本来の形に戻るのね。確かに彼女と同じプラチナブロンドだわ。金髪は珍しくないから、気付かなかった。『カミラ』の髪色はストリベリーブロンドで、公爵家の人間としては浮いていたものね。

 ――身体が冷えてきたから、もう寮に帰りましょう……

 寮に帰り、自室に引きこもり枕を抱きしめて顔を押し付ける。声を抑えて――身体の中の水分を全部涙にかえたんじゃないかってくらい、涙を流した。

 泣き疲れてしまい、そのまま眠ってしまったようで、気が付いたら朝になっていて驚いたわ。

 ……今日が休日で本当に良かったわ。たくさん泣いてしまって、目が腫れぼったくなってしまったから、がんばって冷やさないと。魔法を使い冷やしていると、誰かが来たみたい。

 控えめなノックの音を聞いて、わたくしは魔法を止めて「どちらさま?」と声をかけた。

「……私です」
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