不思議少女と美青年

悠先生と出会った日。
当時16歳で高校一年生だった。
いつもより早く朝学校に向かっていると、目の前を歩いていたおばあちゃんが苦しそうに胸を押さえて倒れてしまった。
朝早いからか周りには誰もいない。私しかいない。おばあちゃんに近づいて話しかける。
千「大丈夫ですか！」
おばあちゃんは、胸を押さえて苦しそうにしているが返答がない。
私の能力は、簡単に言えば治癒能力、病気や怪我の重症度によってできる範囲や癒す時間、代償が変わるが癒し症状を軽くすることができる。
病気や怪我の場所がわかればそこに手を当てて祈ると光がその場所を包んで癒してくれる。
ただ、代償があり、それが発作が起き発熱で寝込むことになる。力を使いすぎるとそれだけ発作が大きくなり発熱で身体が弱り、場合によっては死んでしまう可能性があり、能力を使わないようにしている。だが、今は私しか救えない。私しかいない。
千「おばあちゃん！今助かるからね！」
胸に手を当てて光がおばあちゃんの胸を包む。
千「頑張って、おばあちゃん！」
なかなか今回は重症かもしれない。5分ほど能力を使って、おばあちゃんは起きないが表情から痛みが減ったようだ。
千「おわっ…たぁ…」
ほっとしたら力が抜ける。そのとき後ろから音が聞こえて身体がビクッとなる。振り返ると整った顔のお兄さんがびっくりした顔で立っていた。
見られた…？
？「あっ、救急車！！」
さっきまでびっくりした顔だったのに、すぐにハッとした顔をして今度は真剣な顔でどこかに電話をかけていた。
？「今救急車呼んだから。僕じゃおばあさんが倒れた状況見てないから君もいてね。」
あれ？もしかして見られてない？
でも、どうしよう。だんだん呼吸が苦しくなってきた…能力の代償だ…
この人に迷惑かけたくないけど、足に力入らないから逃げられない…
千「…くっ…」
咳を我慢して呼吸を浅くして気づかれないように耐えるが、変な呼吸音が少しずつ大きくなる。