私はあなたのお人形
人の印象は最初が肝心だって聞いたことがある。最初にいい印象を抱かないと、悪い印象はずっと心の中に残り続けてしまうらしい。

深く頭を下げる。礼儀正しいってイメージを持たれている日本人に相応しいようにしなくちゃ。体を固くしていると、「おや」と管理人さんの声が降ってきた。

「清水さん。服のタグが付けっぱなしですよ」

「えっ!?嘘!!」

思わず顔を上げて手を回して確認する。手にしっかりタグの感触がして、顔が一瞬にして赤くなっていった。せっかくの留学だからと張り切って服を何着か買ったんだよね……。タグ、切るの忘れてたなんて最悪だ……。

「ハサミを持ってきますから、ちょっと待っていてください」

管理人さんはそう言い、家の中に入って行く。そして数十秒後、取ってきたハサミでタグを切ってくれた。

「あ、ありがとうございます……」

恥ずかしさでいっぱいになりながらもお礼を言うと、管理人さんは困ったように微笑んだ。

「あなたはおっちょこちょいな性格みたいですね」

「うっ……。よく言われます」
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