全校放送 from i
「本当に大丈夫ですっお気遣いなく…!!」

「…そう。これ、ごめんね。」


そう言って荷物とヘッドフォンを手渡すと、ヒザをはらって立ち上がる。


すらりと伸びた手足が目に付く。頭2つ分以上、背が高かった。

あの、まだ何か…とアズネが口を開いた瞬間
すると



「マジよかったぁ…あせった…!

本当にごめんな!!」



それまでの無表情さがウソのように、お人好しのキツネみたく目を細めて笑った。



「いえ、私こそ…ごめんなさ…い!?」



一瞬その笑顔に見とれたが、ふと時計をみれば針は始業ギリギリを指していた。


「授業っ始まる!!」


「え?あぁ、授業?真面目だねぇ」

「いやいや、忙がないと遅刻に!

あのっ失礼しました!!」


人事のようにしているその人に疑問を抱きながら、慌てて荷物をまとめ、ヘッドフォンを首にかけてその場から走り去る。
廊下の中ほど、教室まであと少し
というとき


「ねぇっ!!」



「はいっ?」



急に後ろから呼ばれ、振り返る。

見るとさっきの男子がその場にたったままでいた。



「音楽、好き?」


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