すべての想いは君とふたりで
「えっ?!どうゆうことなの、パパ!!!」
高校の卒業式のあとの車内。
わたしは突然、父から信じられないことを言われ、頭が混乱した。
「だから、花はパパの知り合いの息子さんと婚約が決まったんだよ!というか、花が高校卒業したら、婚約させようって前から決めてたんだ!」
勝手な話をウキウキした様子で話す父。
助手席では、「パパの知り合いの息子さん、25歳で弁護士なんだって!花!やったわね!将来、安泰よ!」と、わけの分からない話にノリノリな母。
うちの両親は、頭がおかしかったのかと、今更ながらに思った。
「何で会ったこともない人と婚約しなきゃいけないの?!しかも、わたしに内緒で勝手に話進めて!信じらんない!」
「まぁまぁ、そう怒るなよ〜。」
「怒るに決まってるじゃない!しかも、わたしたった今、高校卒業したばっかだよ?!なのに、もう結婚しろって言うの?!」
「いやいや、まだ結婚じゃない。婚約って言っただろ?その前にお互いのことを知る期間が必要だ。だから半年間、お試し同棲をして、二人の仲を深める期間を与えてあげるから!」
父がそう言うと、母は「あら、やだ!二人の仲を深める期間を与えてあげるなんて、パパ優しい!」と言った。
「どこが優しいの?!二人とも、頭おかしいよ!」
「花、お前の為なんだ。また危ない男なんかにつかまらない為だ。」
「、、、それ、大和のこと言ってるの?」
「パパたちは、花に幸せになってほしいんだよ。」
父の言葉にわたしは最悪な過去を思い出した。
わたしにとって、大和は大切で最愛の人だった。
それを大和が暴走族の総長という肩書だけで、父は彼を何も知ろうとせず、わたしたちの間を引き裂いたのだ。
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