〜Midnight Eden〜 episode5.【雪華】
 主人公二人がいなくなったその後のエピローグの担当は九条くんと新バディの南田くんにお任せしました。ミドエンシリーズの締めくくりは美夜と愁を俯瞰して見ているキーパーソンの九条くんにしかできない役目です。

美夜はヒロインでもなく、愁もヒーロー(ダークヒーロー)ではありません。このシリーズはW主人公は存在してもヒロインとヒーローは不在なんです。
そんなヒーロー不在の世界で九条くんは正統派のヒーローポジションのキャラクターでした。

 所々で美夜と愁と九条くんの三角関係っぽい描写がちらっとありましたね。Act2のメイン視点は愁であり、サブ視点が九条くんでした。
Act2の神社での愁vs九条の場面やAct3の愁と九条の共闘は書いていてとっても楽しかったです。良い男同士の静かなるバチバチのバトルは美味しいね。笑

 九条くんには恋愛を抜きにした美夜の相棒のままでいてほしい派の人と、少しは美夜とラブの展開があってもいいのにと思っている派の人、読者さんの中にはどちらもいるような?と私は勝手に思っていて……。
もちろんどっちでもいいよ派もいるとは思いますが💦

 本作の執筆を終えてからは、ミドエンシリーズをエピソードゼロから順に読み返そうセルフキャンペーン❇️をしていましたが、ep1【春雷】の頃の美夜と九条くんがそれはそれは仲が悪くてねぇ……。

九条くんの心には相棒としての気持ちと男としての気持ち、情と恋の両方があったんだろうな。ep4【月影】を経てep5【雪華】に辿り着いた時の九条くんにはどちらの気持ちも共存していました。

 愁も九条くんの存在によってこれまでに見せたことのない嫉妬の顔を見せてくれました。
Act2での美夜とのラブシーンを愁視点にしたのも、九条くんへの嫉妬が入り交じってオスになる愁を全面に出したかったからです。

 作者の本音は九条くんにも少しは望みを持たせてあげたかったのよ。愁から奪っちゃえよ~キスしちゃえよ~て思って、美夜と九条くんのキスシーンも少しは考えてみたのです……が。

美夜の性格的に愁以外の男キャラとのキスシーンは無理でした。美夜と九条のイチャイチャもまったく想像できない。このバディはそんな甘い雰囲気にならないから良いのだ。

美夜は九条くんには〈女〉としては一度も寄りかからなかったですね。そういうところが彼女はいじらしいです。
Act1での抱擁とAct4の遠回しな告白が九条くんの精一杯の愛情表現でした。

 実は美夜と愁のムゲットでの出会いのきっかけを作ったのは九条くんなんですよ。

ep1【春雷】の時に九条くんがコンビニで美夜のためにトマトパスタを買わなければ、春雷の夜に美夜はムゲットに立ち寄って愁と相席をする展開にはならなかったかもしれない。
あの相席さえなければ美夜と愁の人生が交わることはなかった。

皮肉にも美夜と愁の出会いのトリガーを引いたのは九条くんだったのです。
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