冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
そういった経緯を力説すると、上司は驚いていたものの『意欲がある人に頼みたいし、他に希望がなければ稲森さんに行ってもらおうかな』と快く了承してくれた。
その日の晩、桐人さんは職場でのちょっとしたトラブルの対処をしていたようで、午後九時頃に帰宅した。お風呂上がりの私は、塗ろうとしていたハンドクリームを持ったまま彼のそばに寄って話をする。
「私、今週末から一カ月くらい白藍に行くことになりました」
緊急のため今日のうちに決まった旨を報告すると、桐人さんは一瞬固まった後、ずいっと私に迫ってくる。
「白藍って、まさか体調が?」
「あっ違います、仕事で!」
誤解させてしまい、慌てて訂正した。ヘルプの件について説明し、彼はちゃんと納得した様子だったが、徐々に表情が強張っていく。
「ということは、あの蘭先生と会う可能性も高くなるわけか……」
「会っても特に問題ありませんよ。世間話しかすることはないですし」
やっぱり妙に蘭先生を敵視しているような彼に、私は軽く笑って返した。私と昔から関わりのある気心知れた男性だから、ちょっと警戒してしまうんだろうな。
その日の晩、桐人さんは職場でのちょっとしたトラブルの対処をしていたようで、午後九時頃に帰宅した。お風呂上がりの私は、塗ろうとしていたハンドクリームを持ったまま彼のそばに寄って話をする。
「私、今週末から一カ月くらい白藍に行くことになりました」
緊急のため今日のうちに決まった旨を報告すると、桐人さんは一瞬固まった後、ずいっと私に迫ってくる。
「白藍って、まさか体調が?」
「あっ違います、仕事で!」
誤解させてしまい、慌てて訂正した。ヘルプの件について説明し、彼はちゃんと納得した様子だったが、徐々に表情が強張っていく。
「ということは、あの蘭先生と会う可能性も高くなるわけか……」
「会っても特に問題ありませんよ。世間話しかすることはないですし」
やっぱり妙に蘭先生を敵視しているような彼に、私は軽く笑って返した。私と昔から関わりのある気心知れた男性だから、ちょっと警戒してしまうんだろうな。