冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
そういう理由だったとはつゆほども思わず、どぎまぎして『そ、そうだったんですか!? すみません!』となぜか謝ってしまった。
シェーレの社員でもないただの調理員のことを気にかけてくれるなんて、本当によくできた人だと今でも思っている。
そんな日々が三カ月ほど続いた頃、やっとステロイド薬の服用をやめることに成功した。その間、桐人さんはずっと私が担当するコーナーへ来てくれていたので、私はこう伝えた。
『私、ようやくステロイドをゼロにすることができました。なので、もう心配はいりません』
彼の顔を見られなくなるのは残念だけど……と、物寂しさを感じながらも笑顔を向けた。会えなくなる切なさを感じていたこの時には、私はもう恋に落ちていたのだろう。
ところが、桐人さんの口から放たれたのは意外な言葉。
『それはなによりです。が……私がずっと様子を見に来ているだけだと、本気で思っていたのですか?』
『えっ?』
どういう意味なのかわからず首をかしげると、彼が私の目を見つめた一瞬、ふっといたずらっぽく口角を上がる。
『あなたの気を引きたかったんですよ』
シェーレの社員でもないただの調理員のことを気にかけてくれるなんて、本当によくできた人だと今でも思っている。
そんな日々が三カ月ほど続いた頃、やっとステロイド薬の服用をやめることに成功した。その間、桐人さんはずっと私が担当するコーナーへ来てくれていたので、私はこう伝えた。
『私、ようやくステロイドをゼロにすることができました。なので、もう心配はいりません』
彼の顔を見られなくなるのは残念だけど……と、物寂しさを感じながらも笑顔を向けた。会えなくなる切なさを感じていたこの時には、私はもう恋に落ちていたのだろう。
ところが、桐人さんの口から放たれたのは意外な言葉。
『それはなによりです。が……私がずっと様子を見に来ているだけだと、本気で思っていたのですか?』
『えっ?』
どういう意味なのかわからず首をかしげると、彼が私の目を見つめた一瞬、ふっといたずらっぽく口角を上がる。
『あなたの気を引きたかったんですよ』