冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました

 三日後、日勤の仕事が終わってから結海ちゃんの病室に寄った。二月十四日の今日はやっぱりこれを渡したいと思い、スイーツのお店で買った小包をベッドに座る彼女に差し出す。

「結海ちゃん、特に食事制限なかったよね。これどうぞ」
「えっ、もしかしてチョコ!? やった~!」

 飾っても可愛い缶の入れ物に入ったチョコレートを見て、彼女は目をきらきら輝かせた。喜んでもらえてなによりだ。

「今月中に退院できるかなってちょっと期待してたのに、血液検査の結果がよくなくて無理そうって言われて。ヘコんでたんだけどテンション上がりました。ありがとうございます!」

 その気持ちわかるなと深く共感しつつ、「またテンション上がるようなもの持ってくるね」と笑みを返した。

 結海ちゃんはさっそく蓋を開け、包み紙までカラフルで可愛いチョコレートを見て喜んで写真を撮っている。

「めっちゃ可愛い~。チョコ、旦那さんにもあげるんですか?」
「うん、一応作ってある」
「手作りなんだ。女子力高っ」

 スマホケースを可愛くデコレーションしている結海ちゃんこそ女子力高いよ、と笑いながら複雑な気持ちを隠す。桐人さんを想うと、どうにも胸がちくちくと痛む。

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