冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
「ああ、秋華ちゃんも来てたか。今日も仕事だったんだろ? ありがとな」
「い、いえ。先生はお休みだったんじゃ……」
「夜勤明けで一回家で寝てきたとこ。今日はもう仕事しないよ」
あんな話を聞いた後では、笑顔も引きつる。そうとは知らない先生は、いつもの調子で紙袋から上品にラッピングされた箱を取り出してみせる。
「君たちに逆チョコあげようかと思ってさ」
「お兄ちゃんがもらったやつでしょ。いらんわ」
「まあそう言わずに」
結海ちゃんがばっさり断ったにもかかわらず、先生は「病気のこともあるから一個だけ」と言って強引に渡していた。
どうやら帰った後にデスクに置いてあったものを持ってきたらしい。確かにひとりで食べきるには時間がかかるだろうな、というくらいの量だ。
義理か本命かわからないそのチョコたちは、当然私にも向けられたものの、なんとか断ることに成功した。蘭先生からもらったわけではないけれど、桐人さんに見つかったら絶対怪しく思われるもの。
そして、話が途切れたタイミングで切り出す。
「じゃあすみません、私そろそろ帰りますね」
「ああ、俺が車で送るよ」
「えっ!?」
さらりと口にされたひと言に、思わず声をあげてしまった。
「い、いえ。先生はお休みだったんじゃ……」
「夜勤明けで一回家で寝てきたとこ。今日はもう仕事しないよ」
あんな話を聞いた後では、笑顔も引きつる。そうとは知らない先生は、いつもの調子で紙袋から上品にラッピングされた箱を取り出してみせる。
「君たちに逆チョコあげようかと思ってさ」
「お兄ちゃんがもらったやつでしょ。いらんわ」
「まあそう言わずに」
結海ちゃんがばっさり断ったにもかかわらず、先生は「病気のこともあるから一個だけ」と言って強引に渡していた。
どうやら帰った後にデスクに置いてあったものを持ってきたらしい。確かにひとりで食べきるには時間がかかるだろうな、というくらいの量だ。
義理か本命かわからないそのチョコたちは、当然私にも向けられたものの、なんとか断ることに成功した。蘭先生からもらったわけではないけれど、桐人さんに見つかったら絶対怪しく思われるもの。
そして、話が途切れたタイミングで切り出す。
「じゃあすみません、私そろそろ帰りますね」
「ああ、俺が車で送るよ」
「えっ!?」
さらりと口にされたひと言に、思わず声をあげてしまった。