冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
 初めてベッドに押し倒された時、私を抱いたら桐人さんはどうなるのだろうと少しだけ不安だった。

 でも今は、そんな懸念材料はひとつもない。あの頃よりもっと深く彼のことを知って、私を心底大切にしてくれる人だとわかったから。

「……はい。私の全部、もらってください」

 恥をかき捨てて言うと、彼の瞳が嬉しそうに細められうっとりと微笑む。そして私の言葉が合図になったかのように、濃厚なキスと愛撫が始まった。

 唇から首筋、胸へとキスが降りていく。触れられたところ全部が敏感になっていて、甘い痺れが気持ちよくて声を抑えられない。「可愛い」、「好きだ」と何度も囁かれるたび、感度が上がっているような気がする。

 桐人さんはとても丁寧に愛してくれて、気づいた時にはシーツまで濡れていた。

 もう何分経っただろうか。今、片方の指は胸の頂を、もう片方は蜜の中に沈められて執拗に弄られている。初めての快感というものをしっかり教えられている私は、波のように行ったり来たりするそれからなぜか逃げたくなってしまう。

「あっ、はぁ……桐人さん、もういい、から……っ」
「これだけでやめるわけないだろう。もっと隅々までじっくり愛さないと」
「だって、なんか変……ぁんっ!」

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