冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
君のすべてに俺の心は奪われる
極甘なバレンタインから数日後の夜、仕事を終えた私は久しぶりに和奏とふたりで飲みに繰り出していた。桐人さんにもおすすめした、恒例の焼き鳥屋に。
麗さんも誘ったのだが、どうやら体調を崩してしまっているらしい。巷ではインフルエンザが流行っているし、私も気をつけないと。
ビールで乾杯してから近況を洗いざらい話すと、和奏は頬を紅潮させて興奮気味に私の手を握ってくる。
「そうか~秋華もついにオンナにさせられたわけやな。おめでとう~!」
「ちょっと言い方……。でも、ありがと」
怪しい発言が周りに聞こえていないか軽く見回してしまったけれど、今回はテーブル席に座れたので大丈夫そう。和奏が自分のことのように喜ぶから、恥ずかしいけれど私も口元が緩みっぱなしだ。
彼女はひと際美味しそうにビールを喉に流し、ぷはっと息を吐き出した。仕草はオジサンみたいだけれど、終始にこにこしていて可愛い。
「秋華が白藍に行ってもたから、毎日寂しいし社長ともうまくやってるんかなって気にしてたんやけど、心配無用やったな。ルームシェアもやめたんやろ?」
「うん、順調にやれてるよ。桐人さんは『写真を眺めてるだけじゃ物足りないから、早くシェーレに戻ってきてくれ』とか言ってるけど」
「ヤンデレは健在かい」