冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
「きっかけか……。恋愛的な意味で言えば、強く印象に残ってるのはやっぱり、君が倒れそうになったあの時かな」
「そんな最初から?」
「ああ。医務室で病気の話を聞いて、初めはなんて無茶な子だろうと思った。身体を壊す可能性が人より高いとわかっているのに、どうしてそんなに無理をするんだって。でも、そこには君の強い意志があった」
優しい目をして桐人さんが語るのを聞きながら、私も当時の記憶を蘇らせる。確かあの時も『どうしてそこまで?』と聞かれて、私は苦笑混じりにこう答えた。
『闘病中はずっと安静にしていたから、置いてけぼりにされているように感じていたんです。同期の子たちは今この瞬間も成長しているはずなのにって。だから今、無理をしてでも働けることが嬉しかったんです』
就職を目前に闘病生活が始まってしまい、これからの人生はどうなるんだろうと常に不安がつきまとっていた。その分やっと働けるようになったことが嬉しくて、早く皆に追いつきたい気持ちもあり、多少の無理は無理だと思わずに動いていた。
いつまた病院のベッドに舞い戻ってしまうかわからない。だから今のうちに、って。
『周りに迷惑をかけるのは絶対に避けたいですが、明日動けなくなっても後悔しないように、やれるだけのことはやりたくて』
私がそう伝えたことを、桐人さんは鮮明に覚えているらしい。
「そんな最初から?」
「ああ。医務室で病気の話を聞いて、初めはなんて無茶な子だろうと思った。身体を壊す可能性が人より高いとわかっているのに、どうしてそんなに無理をするんだって。でも、そこには君の強い意志があった」
優しい目をして桐人さんが語るのを聞きながら、私も当時の記憶を蘇らせる。確かあの時も『どうしてそこまで?』と聞かれて、私は苦笑混じりにこう答えた。
『闘病中はずっと安静にしていたから、置いてけぼりにされているように感じていたんです。同期の子たちは今この瞬間も成長しているはずなのにって。だから今、無理をしてでも働けることが嬉しかったんです』
就職を目前に闘病生活が始まってしまい、これからの人生はどうなるんだろうと常に不安がつきまとっていた。その分やっと働けるようになったことが嬉しくて、早く皆に追いつきたい気持ちもあり、多少の無理は無理だと思わずに動いていた。
いつまた病院のベッドに舞い戻ってしまうかわからない。だから今のうちに、って。
『周りに迷惑をかけるのは絶対に避けたいですが、明日動けなくなっても後悔しないように、やれるだけのことはやりたくて』
私がそう伝えたことを、桐人さんは鮮明に覚えているらしい。