冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
「〝一生懸命〟って、命を懸けるほど真剣に物事に取り組むことを言うだろう。君は文字通り、一生懸命生きているんだなって知った瞬間、強烈に惹かれたんだ。この子の頑張りを近くで見てみたいと思った」

 まさかそんなふうに思われていたなんて。この人は本当に、私の体調だけじゃなく頑張っている姿まで見てくれていたんだ。

「それからだ。俺もさらにひたむきに仕事に取り組もうと身を引きしめて、君の人生の一部になりたいと願うようになったのは」

 ちゃぷんと水音を立て、彼は私の背中にさらにぴったりくっついて抱きしめてくる。心の奥まで温かくなって、満たされていく。

「なにより、秋華はとても可愛い。外見だけじゃなく中身も、君のすべてに俺の心は奪われる。こんな答えじゃお気に召さないか?」
「ううん、十分です。もう褒められすぎて恥ずかしい……」

 桐人さんの執着心は、原点から私を幸せにするものだったんだ。顔を覆いたくなるも、ふっと笑った彼が髪をアップにした私のうなじにキスをして、ぴくっと肩が跳ねた。

 彼の唇はそのまま下りていき、背中にも口づける。同時に指はやんわりと胸を弄り、身体をのけ反らせる私の甘い声がバスルームに響く。

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