冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
「え……絢!?」
緩めのニットにスキニーパンツを合わせたカジュアルな姿の彼女が、大きなバッグや紙袋を手にこちらへ向かってくる。色気のある猫目が私を捉え、ほんの少し訝しげに眉をひそめた。
私が帽子とマスクをしているから誰かわからなかったのだろう。慌ててマスクをずらして顔を見せると、絢は一瞬目を丸くして「ああ、秋華だったの」と言った。
「そういえばここにヘルプで来てるんだってね。社長夫人の話は聞きたくなくても耳に入ってくるから」
「あ、はは。うん、あと一週間だけどね」
若干の嫌みをへらっと笑って受け流す私。会ったら気まずいしどう接しようかと思っていたけれど、相変わらずの調子でなんだかほっとした。
でも、まさかこんなところで会うとは。
「絢は誰かのお見舞い?」
「父が入院したのよ。腎臓病で」
すぐそばの病室に目をやる彼女の言葉ではっとした。今朝チーフが言っていた透析の患者さんの苗字が、そういえば白鳥さんだったと思い出して。
絢のお父さんだったの?と驚く私に、彼女は少し近づき声を潜めて話し出す。
「シェーレが開発中の在宅透析機器の臨床試験をしたの。でも途中で不具合が起こって、高カリウム血症になって病院に逆戻り」
「不具合……!?」
穏やかではない問題に、私の胸が激しくざわめいた。
緩めのニットにスキニーパンツを合わせたカジュアルな姿の彼女が、大きなバッグや紙袋を手にこちらへ向かってくる。色気のある猫目が私を捉え、ほんの少し訝しげに眉をひそめた。
私が帽子とマスクをしているから誰かわからなかったのだろう。慌ててマスクをずらして顔を見せると、絢は一瞬目を丸くして「ああ、秋華だったの」と言った。
「そういえばここにヘルプで来てるんだってね。社長夫人の話は聞きたくなくても耳に入ってくるから」
「あ、はは。うん、あと一週間だけどね」
若干の嫌みをへらっと笑って受け流す私。会ったら気まずいしどう接しようかと思っていたけれど、相変わらずの調子でなんだかほっとした。
でも、まさかこんなところで会うとは。
「絢は誰かのお見舞い?」
「父が入院したのよ。腎臓病で」
すぐそばの病室に目をやる彼女の言葉ではっとした。今朝チーフが言っていた透析の患者さんの苗字が、そういえば白鳥さんだったと思い出して。
絢のお父さんだったの?と驚く私に、彼女は少し近づき声を潜めて話し出す。
「シェーレが開発中の在宅透析機器の臨床試験をしたの。でも途中で不具合が起こって、高カリウム血症になって病院に逆戻り」
「不具合……!?」
穏やかではない問題に、私の胸が激しくざわめいた。