冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
腎臓内科へ届ける配膳車には腎臓病食しか入れないので、生の果物を乗せること自体ないし、万が一間違って乗っていたらすぐにわかる。
絶対につけていないと断言できるので首を横に振ると、チーフも「そうよね」とため息混じりに頷いた。彼女も私を疑ってはいないようだが、どうしてそんなことになったのかわからない様子だ。
どうにも納得がいかないので、チーフに了承をもらって私も直接話をしに行くことにした。
帽子とマスクを取って急ぎ足で病室へ向かうと、細身で白髪交じりの白鳥さんが食事を取っている傍らで、絢も椅子に座っていた。「絢……!」と声をかける私を、彼女は無表情で見上げる。
「この食事を用意したの、秋華だったのね。これがついてたのよ」
手で示されたトレーの上には、確かに切られたキウイフルーツが乗っている。常食につけていたものと切り方も同じだ。
「私が気づいたからよかったけど、もし食べていたらどうなるかわかってる? 高カリウム血症の父は特に、最悪の場合は心停止する可能性だってあるのよ」
絢が言うのはもっともで、危険な事態になりかねなかったと思うとぞっとする。家族からしたら黙っていられなくて当然だろう。
絶対につけていないと断言できるので首を横に振ると、チーフも「そうよね」とため息混じりに頷いた。彼女も私を疑ってはいないようだが、どうしてそんなことになったのかわからない様子だ。
どうにも納得がいかないので、チーフに了承をもらって私も直接話をしに行くことにした。
帽子とマスクを取って急ぎ足で病室へ向かうと、細身で白髪交じりの白鳥さんが食事を取っている傍らで、絢も椅子に座っていた。「絢……!」と声をかける私を、彼女は無表情で見上げる。
「この食事を用意したの、秋華だったのね。これがついてたのよ」
手で示されたトレーの上には、確かに切られたキウイフルーツが乗っている。常食につけていたものと切り方も同じだ。
「私が気づいたからよかったけど、もし食べていたらどうなるかわかってる? 高カリウム血症の父は特に、最悪の場合は心停止する可能性だってあるのよ」
絢が言うのはもっともで、危険な事態になりかねなかったと思うとぞっとする。家族からしたら黙っていられなくて当然だろう。