冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
マンションに帰宅すると、張っていた気が一気に抜けたのか、ソファに倒れ込んだら動けなくなってしまった。桐人さんは今夜も遅くなりそうだと言っていたけれど、夕食は作れそうにないからどこかで済ませてきてもらおう。
連絡しようとスマホを手に取ったものの、とにかく怠くて少し目を閉じる。そのまま意識を手放してしまい、気がついたのは午後七時半を過ぎたところ。
いけない、寝ちゃってた……と慌てて起き上がった瞬間、めまいと腕の痺れを感じて顔をしかめる。これはただの風邪ではないと直感した時、自分の手の甲を見て血の気が引いた。
いつの間にか赤紫色の発疹が出ている。以前のように足に異常は出ていないものの、発熱や脱力感などの症状はどれも当てはまる。
まさか、血管炎が再燃してしまった……?
またあの苦しい日々を送らなきゃいけないんだろうか。顔も身体も醜くなって、ただ安静にするしかない、自信が底辺まで落ちるような日々に。
病気だけじゃない。桐人さんのためになにもできず、仕事でもトラブルを起こして……こんな自分が嫌で仕方ない。
身体も心もつらくて涙が出てくる。でも、このままにしておいたら悪化するだけ。それは身をもって知っているので、体温を測ったら蘭先生に相談してみようと、なんとか身体を起こした。