冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
体温は三十八度。ソファに座り直して下に落ちたスマホを拾い、耳に当てるだけでも痺れた腕では落としそうになるので両手で持つ。
とにかく話を聞いてもらうだけでも不安が軽くなる気がして、先生が出てくれることを祈りながらコールを待っていると、幸いすぐに《もしもし、秋華ちゃん?》と声が聞こえてきた。
「蘭先生……」
《ごめんね、これから緊急手術で。あんまり長話できないんだけど、用件は聞くよ。どうした?》
「忙しいのにすみません。それが……今三十八度の熱があって、腕が痺れるのと、発疹が出てきて」
呼吸が荒いのを自覚しつつ訴えた途端、電話の向こうの空気がピリッとしたものに変わった気がした。先生はひと呼吸置いて、落ち着いた声で問いかける。
《そうか。症状はいつから?》
「三日くらい前からです……。これってやっぱり、再燃──」
棚に置いた卓上カレンダーを無意識に見上げた瞬間、ぐらりと視界が歪む。頭が重くなり、座っていられなくなってソファに倒れ込んだ。
《秋華ちゃん? 秋華ちゃん!》
かすかに聞こえる先生の声が遠のいていく。不安で、寂しくて……ただただ桐人さんに会いたい。
瞼を閉じた瞳から、涙がこぼれ落ちた気がした。
とにかく話を聞いてもらうだけでも不安が軽くなる気がして、先生が出てくれることを祈りながらコールを待っていると、幸いすぐに《もしもし、秋華ちゃん?》と声が聞こえてきた。
「蘭先生……」
《ごめんね、これから緊急手術で。あんまり長話できないんだけど、用件は聞くよ。どうした?》
「忙しいのにすみません。それが……今三十八度の熱があって、腕が痺れるのと、発疹が出てきて」
呼吸が荒いのを自覚しつつ訴えた途端、電話の向こうの空気がピリッとしたものに変わった気がした。先生はひと呼吸置いて、落ち着いた声で問いかける。
《そうか。症状はいつから?》
「三日くらい前からです……。これってやっぱり、再燃──」
棚に置いた卓上カレンダーを無意識に見上げた瞬間、ぐらりと視界が歪む。頭が重くなり、座っていられなくなってソファに倒れ込んだ。
《秋華ちゃん? 秋華ちゃん!》
かすかに聞こえる先生の声が遠のいていく。不安で、寂しくて……ただただ桐人さんに会いたい。
瞼を閉じた瞳から、涙がこぼれ落ちた気がした。