冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
幸せにするためならなんだってやる
秋華と身体も結ばれ、ようやく人並みの夫婦生活を送れるようになった。
身体まで深く繋がったらさらに執着してしまいそうだと、俺自身も思っていた通り四六時中触れていたい欲は増すばかりだ。
しかし、なんとか自制して日々過ごしている。欲望のままではまた秋華を困らせてしまうと思えば抑えられる。それでも、毎日が幸せで仕方ない。
プライベートは順風満帆だが、仕事はそうもいかない。二月最後の日、臨床試験で不具合が起こったかもしれないとの一報が入り、耳を疑った。
これまでもうまくいかなかったことはあったし、それを見つけるための臨床試験なのだから本来は落ち込む必要はない。
しかしシェーレでは、完璧だと自信を持てるようになってから俺がゴーサインを出して試験に臨んでいる。それに穴があったというのは、かなり心を折られるものだ。
本当に不具合なのかと疑ってしまう気持ちもあり、すぐに機器が正常であるかどうかをチェックした。するとやはり特に異常はなく、皆で首をかしげた。
機器が原因でなければ、それを使う患者本人や家族に問題があったのではないか。機器を使って血液透析を自宅で行う場合、操作から針を刺す作業なども自分たちで行う。使用する前は数カ月かけて研修を行うが、使用法を間違えないとも限らない。