冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
ああ、思い出したら気持ちが落ち着いてきた。あの男性の言う通り、どんな私も愛すと言ってくれる人がそばにいるのだから。こんな状況だけど、私は幸せ者だな……。
病室のベッドの上で私は重い瞼を閉じ、あの頃とはまったく違う心境でぼんやり思いを巡らせていた。薬のおかげで少しつらさが和らいできたものの、まだ怠くて起き上がれない。
再び眠りに落ちそうになっていると、ノックの音が聞こえた気がした。返事もできずにいるうちに、ドアが開いて誰かが入ってくる。小声で話しているものの、桐人さんと蘭先生だとわかる。
「八影さん、秋華ちゃんに言ってないんですか? 六年前のこと」
……六年前? 私が入院していた頃だけれど、いったいなんのこと?
おそらく私が眠っていると思って話しているのだろう。続きが気になって、とりあえず目を閉じたまま耳をそばだててみる。
「ええ、いいんです。私は臨床試験を提案しただけですから。彼女を救ったのは蘭先生に違いないですしね」
臨床試験を提案……ってまさか、桐人さんが私の手術に関わっていたの?
思ってもみなかった事実が明るみになって、どんどん私の頭が冴えてくる。うっすら目を開くと、視界の端に戸口に立つ桐人さんの後ろ姿を捉えた。
病室のベッドの上で私は重い瞼を閉じ、あの頃とはまったく違う心境でぼんやり思いを巡らせていた。薬のおかげで少しつらさが和らいできたものの、まだ怠くて起き上がれない。
再び眠りに落ちそうになっていると、ノックの音が聞こえた気がした。返事もできずにいるうちに、ドアが開いて誰かが入ってくる。小声で話しているものの、桐人さんと蘭先生だとわかる。
「八影さん、秋華ちゃんに言ってないんですか? 六年前のこと」
……六年前? 私が入院していた頃だけれど、いったいなんのこと?
おそらく私が眠っていると思って話しているのだろう。続きが気になって、とりあえず目を閉じたまま耳をそばだててみる。
「ええ、いいんです。私は臨床試験を提案しただけですから。彼女を救ったのは蘭先生に違いないですしね」
臨床試験を提案……ってまさか、桐人さんが私の手術に関わっていたの?
思ってもみなかった事実が明るみになって、どんどん私の頭が冴えてくる。うっすら目を開くと、視界の端に戸口に立つ桐人さんの後ろ姿を捉えた。