冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
ケーキを切り分けてリビングのローテーブルに運び、ついでにクローゼットに隠していた小さな包みを取ってくる。ソファに座る桐人さんにちょっぴり緊張しつつそれを差し出すと、彼は大きく目を見開く。
「私からもプレゼントです。そんなに高価なものじゃないし、ちょっとウケ狙いな感じなんですけど……」
「ウケ狙い?」
ごにょごにょと尻つぼみになっていく私の言葉に、彼がぴくりと反応して繰り返した。しかしすぐに感動したような表情に戻り、「ありがとう」と言って丁寧に包みを開ける。
私からのプレゼントはネクタイピンにした。定番だけれど、デザインは一風変わったもの。冒険してみたそれを見て、桐人さんの目がわずかに輝いた気がする。
「すごいな、ハサミだ」
「はい。シェーレってドイツ語で〝ハサミ〟ですよね。確か、最初に作っていたそれが社名になったって」
そう、シルバーに輝くこのタイピンは、繊細なハサミの形をしているのだ。
シェーレは元々ハサミを生産していて、医療用のペアンを作ったのがきっかけで現在の医療機器メーカーへと発展したのだと、異動したばかりの頃に聞いた。社長が社名の由来となったアイテムのピンを身につけるのも、なかなか粋じゃないだろうか。
「私からもプレゼントです。そんなに高価なものじゃないし、ちょっとウケ狙いな感じなんですけど……」
「ウケ狙い?」
ごにょごにょと尻つぼみになっていく私の言葉に、彼がぴくりと反応して繰り返した。しかしすぐに感動したような表情に戻り、「ありがとう」と言って丁寧に包みを開ける。
私からのプレゼントはネクタイピンにした。定番だけれど、デザインは一風変わったもの。冒険してみたそれを見て、桐人さんの目がわずかに輝いた気がする。
「すごいな、ハサミだ」
「はい。シェーレってドイツ語で〝ハサミ〟ですよね。確か、最初に作っていたそれが社名になったって」
そう、シルバーに輝くこのタイピンは、繊細なハサミの形をしているのだ。
シェーレは元々ハサミを生産していて、医療用のペアンを作ったのがきっかけで現在の医療機器メーカーへと発展したのだと、異動したばかりの頃に聞いた。社長が社名の由来となったアイテムのピンを身につけるのも、なかなか粋じゃないだろうか。