冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
絢が盛って話している可能性も十分あるけれど、本当に桐人さんに褒められたり認められたりしているとしたら、ちょっと妬ける。
じり、と胸の奥が痛くなるのを感じていると、自販機からミルクティーの缶を取り出した絢が淡々と言う。
「だから、邪魔しないでね」
「え?」
眉をひそめる私に、彼女は口角を上げたまま、あからさまに敵意を滲ませた瞳を向ける。
「私、八影社長のこと本気で狙ってるから。ライバルは減らしておかないと」
いただけない告白をされ、つい顔を強張らせてしまった。それに気づいているかはわからないが、絢は宣戦布告するような笑みを浮かべて手を振る。
「じゃ、私ちょっと休憩していくから。よいお年を」
「あ、うん。よいお年を……」
私も笑顔を取り繕って定型文のように返し、エレベーターに向かう。それに乗り込み扉が閉まった直後、盛大なため息を吐き出した。
絢が誘惑しても桐人さんがなびくとは思えないけれど、決していい気分にはならない。結婚していることも余計言い出しにくくなってしまった。しばらく秘密のままにして、絢が諦めるのを待つしかないかな……。
せっかくすっきりと仕事納めをしたのに、心の中だけはもやもやしたまま年を越すことになりそうだ。
じり、と胸の奥が痛くなるのを感じていると、自販機からミルクティーの缶を取り出した絢が淡々と言う。
「だから、邪魔しないでね」
「え?」
眉をひそめる私に、彼女は口角を上げたまま、あからさまに敵意を滲ませた瞳を向ける。
「私、八影社長のこと本気で狙ってるから。ライバルは減らしておかないと」
いただけない告白をされ、つい顔を強張らせてしまった。それに気づいているかはわからないが、絢は宣戦布告するような笑みを浮かべて手を振る。
「じゃ、私ちょっと休憩していくから。よいお年を」
「あ、うん。よいお年を……」
私も笑顔を取り繕って定型文のように返し、エレベーターに向かう。それに乗り込み扉が閉まった直後、盛大なため息を吐き出した。
絢が誘惑しても桐人さんがなびくとは思えないけれど、決していい気分にはならない。結婚していることも余計言い出しにくくなってしまった。しばらく秘密のままにして、絢が諦めるのを待つしかないかな……。
せっかくすっきりと仕事納めをしたのに、心の中だけはもやもやしたまま年を越すことになりそうだ。