冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
翌日、休みに入った私は、気持ちを切り替えるためにもマンションの部屋を掃除していた。普段から散らかったりはしていないけれど、手つかずだったところを前々から大掃除するつもりだった。
桐人さんは今年最後の日帰り出張に行っている。絢のことは話せていないし、言い様のない不安で心が落ち着かない。
少しでも気分をすっきりさせたくて、ひとり気合いを入れて換気扇や窓の汚れを落としていった。
気がつくと、午後三時を回っていた。まだ時間も体力も余裕があるので、桐人さんが使っている書斎も掃除しておこう。
普段はロボット掃除機にお任せしているだけで、私はあまり入らないそこにお邪魔してみる。
本棚には医療関係の難しそうな書籍がたくさんあり、デスクにはおしゃれなランプと時計が置いてあるくらいで綺麗に保たれている。さすが桐人さんだな、と感心して部屋中を見回していると、デスクの下にペンが落ちているのを発見した。
それを拾い、ペンをしまうくらいは問題ないだろうと、あまり深く考えずに引き出しを開ける。予想通り、文房具を入れるスペースが仕切られていたのだが、私は別のものに目が留まった。