冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
お義父様も満足げに口角を上げて頷く。
「まあ、そうでなきゃ困るがな。大口を叩いておいて、くれぐれも失望させるなよ。お前が秋華さんと結婚したのはこのためでもあるんだろう?」
声を潜めて口にされたものの、私の耳はしっかり捉えてしまった。最後の、妙に引っかかるひと言を。
桐人さんが私と結婚した理由に、医薬品部門の設立が関わっている……? いったいどういうことなのだろう。意味がわからない。
気づいていないフリをして、お義母様たちに笑顔を向けたまま意識と耳は彼らのほうへ集中させる。一瞬こちらを振り向こうとした桐人さんは、やや煙たそうに小声で返す。
「こんなところで言うのはやめてください。……でもおっしゃる通り、私たちにとっても秋華は大事な存在ですから、父さんも丁重に扱ってくださいね」
ドクン、ドクンと鼓動がわずらわしいほど大きく鳴り始める。『私たちにとって』って、なに? この結婚にはなにか裏があるの?
私と医薬品、共通するものは例の難病だ。桐人さんにも、彼のご家族にも、結婚する前にこの病気については打ち明けている。
まさか、新たな治療薬の開発研究のために難病持ちの私に近づいた、とか……?
「まあ、そうでなきゃ困るがな。大口を叩いておいて、くれぐれも失望させるなよ。お前が秋華さんと結婚したのはこのためでもあるんだろう?」
声を潜めて口にされたものの、私の耳はしっかり捉えてしまった。最後の、妙に引っかかるひと言を。
桐人さんが私と結婚した理由に、医薬品部門の設立が関わっている……? いったいどういうことなのだろう。意味がわからない。
気づいていないフリをして、お義母様たちに笑顔を向けたまま意識と耳は彼らのほうへ集中させる。一瞬こちらを振り向こうとした桐人さんは、やや煙たそうに小声で返す。
「こんなところで言うのはやめてください。……でもおっしゃる通り、私たちにとっても秋華は大事な存在ですから、父さんも丁重に扱ってくださいね」
ドクン、ドクンと鼓動がわずらわしいほど大きく鳴り始める。『私たちにとって』って、なに? この結婚にはなにか裏があるの?
私と医薬品、共通するものは例の難病だ。桐人さんにも、彼のご家族にも、結婚する前にこの病気については打ち明けている。
まさか、新たな治療薬の開発研究のために難病持ちの私に近づいた、とか……?