冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
翌日の昼下がり、私は和奏とショッピングモールをぶらぶらしている。昨日の夜、実家の気楽さに甘えてゴロゴロしていると彼女から電話がきて、福袋を買いに行くから付き合ってくれないかと誘われたのだ。
私たちの休みは今日までで、結婚してから和奏と出かける頻度も減っていたからふたつ返事で了承した。
和奏が目当ての福袋を無事ゲットした後、花とグリーンに囲まれたボタニカルカフェに入った。おしゃれなワンプレートのランチを食べてまったりしていると、和奏は思い出したように口を開く。
「そういえば、ちょっと気になることがあったんや。仕事納めの日、八影社長ってなにしてたん?」
「仕事納めの日? 桐人さんも会社で仕事してたはずだよ」
絢と会った日だ。確か彼も仕事をすると言っていた。絢のことを思い出すともやもやがぶり返してくるな……後で愚痴らせてもらおう。
それはさておき、桐人さんがどうかしたのかとキョトンとする私に、和奏は神妙な面持ちで話し出す。
「その日さ、会社から五分くらいのとこのカフェで、一緒にライブ行く友達と待ち合わせしてたんよ。窓際で外見てたらちょうど秋華が帰るのが見えたんやけど、その後からやってきた八影社長が、秋華の後をつけてるように見えてん」
「はっ!?」