冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
まったく予想外の内容に、ついすっとんきょうな声をあげてしまった。桐人さんがそんな謎の行動をしていたの?
「後をつけてるって、どういうこと?」
「そう見えたってだけやけどな。夫婦なんやから話しかければええのに、ずっと同じ距離保ってついていってたから、なんやおかしいなー思て」
「ああ、それはたぶん会社の近くだったからだよ。他の社員に一緒に帰ってるの見られないように、ちょっと離れたところで車に乗るから」
たちまち噂になってしまうので、会社付近ではふたりでいないようにしている。桐人さんももちろん承知の上だ。
だから距離を取っていたんじゃないかと考えていると、和奏も納得したように頷く。
「あーそかそか。もう公表したらええんちゃう? あれじゃ社長、まるで探偵かストーカーみたいに見えるで」
「ストーカーって」
あははっと笑い飛ばす彼女につられて私も笑った瞬間、はっと気づいた。あの日は一緒に帰らなかったことに。
朝は私のほうが早いのに、桐人さんはいつも時間を合わせて送ってくれるし、帰りもタイミングが合えば一緒に帰っている。最初は遠慮していたのだが、彼がそうしたいと言うので申し訳なく思いつつも乗せてもらうことになった。
しかしあの日は、珍しく仕事で遅くなると連絡があり、私は電車で帰った。だから、彼が徒歩で私を追うというのはかなり不自然なのだ。
「後をつけてるって、どういうこと?」
「そう見えたってだけやけどな。夫婦なんやから話しかければええのに、ずっと同じ距離保ってついていってたから、なんやおかしいなー思て」
「ああ、それはたぶん会社の近くだったからだよ。他の社員に一緒に帰ってるの見られないように、ちょっと離れたところで車に乗るから」
たちまち噂になってしまうので、会社付近ではふたりでいないようにしている。桐人さんももちろん承知の上だ。
だから距離を取っていたんじゃないかと考えていると、和奏も納得したように頷く。
「あーそかそか。もう公表したらええんちゃう? あれじゃ社長、まるで探偵かストーカーみたいに見えるで」
「ストーカーって」
あははっと笑い飛ばす彼女につられて私も笑った瞬間、はっと気づいた。あの日は一緒に帰らなかったことに。
朝は私のほうが早いのに、桐人さんはいつも時間を合わせて送ってくれるし、帰りもタイミングが合えば一緒に帰っている。最初は遠慮していたのだが、彼がそうしたいと言うので申し訳なく思いつつも乗せてもらうことになった。
しかしあの日は、珍しく仕事で遅くなると連絡があり、私は電車で帰った。だから、彼が徒歩で私を追うというのはかなり不自然なのだ。