冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
 違和感を覚えると、たいして気にしていなかったことが引っかかるようになる。出退勤だけでなく食事も休日も、常にふたりで過ごしているのは度が過ぎているような気もするし。

 それに、私がアルバムを見つけた時の桐人さんは、どこか様子がおかしかった。もしかして、なにか重大な秘密を隠している……?

『まるで探偵かストーカーみたいに見えるで』

 いや……いやいやいや、ありえないでしょ。仮にも結婚している旦那様が、妻につきまとうなんて。

 さすがにその可能性はないだろう。でも、どうして私の後を歩いていたのかは奇妙だ。和奏が見間違えるとも思えないし。

 桐人さんがなにを考えているかわからなくなってくる。初詣の時の件もあるし、和奏に相談したほうがいいかな。

 どこから話そうかと、温かいカフェラテに口をつけて考えを巡らせていた時、私のスマホが鳴り出した。ディスプレイには母のアイコンが表示される。

「ごめん、お母さんから電話」
「どーぞどーぞ」

 また一度家に帰るのにどうしたんだろうと思いつつ、通話ボタンをタップする。そうして聞こえてきた内容に、私は思わず立ち上がりそうになりながら「えっ!?」と叫んだ。

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