冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました

　母からの電話は、『やよいが全然食べないし動かないの』というＳＯＳだった。彼女に異変が起こるのは初めてで、お父さんはこういうことに関しては無知だし、今日は兄も遠出しているからテンパったのだろう。

　とりあえず家の近くの動物病院に連れていこうと話がまとまり、和奏に事情を話して私もすぐに向かうことにした。今日が一月四日でよかった。三が日だったら診療をしていない病院が多いだろうから。

　私が病院に着いた時、やよいはキャリーバッグの中でじっとしていた。うさぎは鳴き声もあげないし、悪いところがあっても隠そうとする動物なのでわかりにくいが、やっぱり元気がない感じはする。

　診断の結果、消化管の動きが悪くなって食べ物が体内に留まってしまう、うっ滞という病気だろうと判明した。うさぎはこれを患うことがとても多いのだが、放っておくとあっという間に死に至る怖い病気だ。

　幸い早くに母が気づいてくれたので、注射と薬で様子を見ることになり、おそらく数日でよくなるだろうと言ってもらえてほっとした。原因は食べたものが合わなかったり、毛づくろいの時に毛を飲み込んでしまっていたりと様々なので、気をつけなければ。