冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
つがいになりたい
貴重な連休を終えた私は、皆にまた一時の別れを告げ、お泊まりセットを入れたバッグも持って会社へ向かった。
やよいはあれから少しずつ食べるようになり、便も出るようになったのでひとまず安心だ。お父さんたちもさらに気をつけるようになっただろうし、次に会う時はまた元気に遊んでほしい。
心配はひとつなくなり、桐人さんと話そうと覚悟も決めたせいか、新年一発目の仕事は調子よく進んだ。
シェーレは明日が仕事始めなので、今日の主なタスクは調理の仕込み。大量の野菜をひたすら切りながら、気がつくと今夜は桐人さんが喜ぶメニューにしようと考えていた。疑心はあっても、彼が好きな気持ちは変わらないんだな。
順調に一日乗り切り、あとは今夜の話し合いだと気合いを入れ、ロッカーに押し込んでおいた大きなバッグを持ってシェーレを出る。この間和奏が私たちを目撃したというカフェが見えてきたところで、「秋華!」と呼ばれて足を止めた。
驚いて後ろを振り向くと、休日感のあるカジュアルなパンツスタイルの絢が笑顔で歩いてきていて、私は目を丸くした。
彼女は休みなのにここで会うなんて。気まずい……と思いつつ、「あけましておめでとう」と型通りの挨拶をして、少し立ち話をする。