冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
開発部に所属している絢は、テキパキと仕事をこなすデキる女で一目置かれているらしい。それは尊敬するのだが、私は我が強い彼女が実は昔から苦手だった。この会社に入って再会した時、正直テンションが下がってしまったのは内緒である。
そんな彼女は、皆が一歩引く八影社長に対しても臆することなく接する人。今も、にこにこしながら気さくに話しかけている。
「八影社長はクリスマスイブも通常運転ですね。全然甘くない」
「当然です。クリスマスなどなにも関係ありません」
彼が目も合わさず冷ややかにそう返すのは、絢もわかっていたらしくふふっと笑った。
楽しそうな彼女を見ていると少々胸がざわつくので、私は自分の仕事に勤しむ。一応クラスメイトだった人がいれば挨拶くらいするものだと思うけれど、彼女の中に私の存在はないようだし。
くるりと後ろを向き、他のスタッフが用意してくれていた包み焼きが乗ったお皿を手に取る。真鯛とカラフルなパプリカを包んだシートを少し開け、レモンを添えたそれを「お待たせしました」とひと声かけて社長のトレーに置いた。
「よくわかりましたね。私が真鯛の包み焼きを頼もうとしていること」
「えっ」
突然そう言われ、キョトンとして見上げると若干驚いた様子の綺麗な顔がある。その瞬間、頼まれたわけではないのに私が勝手にメインを選んでしまっていたことに気づき、はっと口を開けた。
そんな彼女は、皆が一歩引く八影社長に対しても臆することなく接する人。今も、にこにこしながら気さくに話しかけている。
「八影社長はクリスマスイブも通常運転ですね。全然甘くない」
「当然です。クリスマスなどなにも関係ありません」
彼が目も合わさず冷ややかにそう返すのは、絢もわかっていたらしくふふっと笑った。
楽しそうな彼女を見ていると少々胸がざわつくので、私は自分の仕事に勤しむ。一応クラスメイトだった人がいれば挨拶くらいするものだと思うけれど、彼女の中に私の存在はないようだし。
くるりと後ろを向き、他のスタッフが用意してくれていた包み焼きが乗ったお皿を手に取る。真鯛とカラフルなパプリカを包んだシートを少し開け、レモンを添えたそれを「お待たせしました」とひと声かけて社長のトレーに置いた。
「よくわかりましたね。私が真鯛の包み焼きを頼もうとしていること」
「えっ」
突然そう言われ、キョトンとして見上げると若干驚いた様子の綺麗な顔がある。その瞬間、頼まれたわけではないのに私が勝手にメインを選んでしまっていたことに気づき、はっと口を開けた。