冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました

「いつまでそんな強気でいられるかしら。秋華は彼の隣には相応しくないってこと、徹底的にわからせてやるわ。私は欲しいものは絶対手に入れたいし、そのためには容赦しないから」

　一層低い声で脅し文句を口にする彼女を、なんとか怯まず睨み返していた、その時。

「容赦しないって？　なにをするおつもりですか」

　すぐそばから聞き慣れた声がして、私たちは同時にぱっと顔を上げ、大きく目を見開いた。絢を見下ろす麗しい男性は、今にも斬りかかりそうなほど恐ろしく冷淡な目をしている。

「私の秋華を傷つけるようなことをすれば、こちらこそ容赦はしませんよ」
「しゃっ……しゃ、社長っ!?」

　まさかのご本人登場に、絢の顔から一気に血の気が引いていく。私も桐人さんが来るとは思わなかった……！

　彼も休みなのにどうしてここにいるんだろう、という疑問はあるけれど、今はとにかく助けに入ってくれてとても心強いしほっとする。彼が私に向かって伸ばした手もためらいなく取り、立ち上がると守られるように腰に手を回された。

　桐人さんがそばにいるだけですごく安心するも、彼は絢に対して厳しい言葉を投げつける。

「まあ、すでに罰を与えるには十分ですよね、白鳥さん。秋華につきまとい、ストーカーまがいの行為をしていたんですから」