冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました

　勝手に悪いほうに想像して不安になり、彼を避けてしまった自分が情けなくてがっくりと肩を落とす。桐人さんはいつも、私のことを考えてくれていたのに。

　うなだれて反省する私に彼の手が伸びてきて、頬を優しく包み込む。目線を上げると、決してぶれない真剣な瞳が私を見つめている。

「秋華と結婚したのは、ただ誰より愛しているからだよ。俺を信じてほしい」

　はっきり伝えてもらえたおかげで、心から安堵して「はい」と返事をした。

　桐人さんの綺麗な顔がゆっくり近づいてくる。ちょっぴり久しぶりで、想いを確かめた後のキスにドキドキしながらまつ毛を伏せた。

　ちゃんと想いを確かめた後だからか、なんだかこれまで以上に甘く感じる。優しく舌が絡み合って、脳みそからとろけてしまいそう。

　極甘なキスに惚けていると、一度唇を離した彼が、私の頬を撫でながら吐息交じりに話し始める。

「秋華、狼のつがいについて知っているか？」
「つがい……？」
「狼は決めた相手とつがいになると、一生そのパートナーを変えることなく共に生きていく。一方が病気やケガで亡くなると、残った一方はひとりで過ごすことがほとんどで、後を追って死んでしまうこともあるらしい」