冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
 けれど、決して嫌ではないし、私が桐人さんを好きな気持ちも変わらない。半開きの唇が近づいてきて最初から濃厚なキスをされると、拒む気すら失せていく。

 リップ音を立てて唇を味わわれ、だんだん私の力が抜けていくのがわかったのか、拘束していた手が離れる。その手は次に、服の上から胸の膨らみに触れた。

 布越しでも恥ずかしくてぎゅっと目をつむる。そのうち、物足りないというように骨張った手が服の中へ侵入してきて、びくっと身体が震えた。

「ふぁ……あっ、桐人さん……」
「耳まで赤くして可愛い、秋華」

 温かい手で素肌をなぞる間も、キスや甘い言葉がやまなくて、くすぐったいのに癖になる快感を覚える。

 そのうち唇は首筋に移動し、少し強く吸われ、ちりっとした痛みが走った。

「んっ、今の……」

 もしかしてキスマーク? 閉じていた瞼を開くと、桐人さんは唇を離し、はぁ……っと色っぽすぎるため息を漏らす。

「そう。俺のものだって印、全身につけたい。俺たちの関係も、どれだけ君を想っているかも、皆に周知させておきたいんだ。俺が離れている少しの隙を狙って、他の男が寄ってこないように」

 理性がどこかへ飛んでいきそうになる寸前、彼の悦に入った表情と言葉ではっと我に返った。

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