冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
「あの、提案なんですけど、ルームシェア婚をしてみましょうよ」
「ルームシェア婚?」

 首をかしげる桐人さんに、私はさりげなく乱れた服を直しながら、それぞれ自由に生活する今時の結婚スタイルについて簡単に説明した。

 一旦つかず離れずの距離を取って生活して、それに慣れてくれば過度な執着もしないようになるんじゃないか、という期待を込めて。

 話しているうちに欲情が治まってきたらしい桐人さんは私の隣に横になり、難しい顔で肘枕をする。

「ルームメイト状態になるということか。それは、逆に夫婦関係が悪化するような気がするんだが」
「相手に依存や束縛をしすぎるのもよくないです。たとえ好きでも、それがずっと続いたら夫婦生活に疲れちゃいそうですし。私、また家を出ていくかもしれませんよ」
「今度出ていったら、捕まえて鍵をかけて閉じ込めておく」
「そーいうとこですよ」

 もはや遠慮せずにツッコみまくっている。でも、本人もちょっと危ないというのは自覚しているみたいだし、まあいいか。

 私もごろんと彼のほうに身体を向ける。こんなふうにベッドでざっくばらんに話すのは初めてかもしれない。

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