冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました

 ルームシェア婚を始めて、約二週間が経とうとしている。

 朝も夜も時間を合わせることがなくなったため、ひとりで食事をする日が増えた。俺が起きるとすでに秋華の姿がない日もあり、その逆もある。彼女と暮らすようになるまでそれは当たり前だったのに、今はとても寂しい。

 土日はふたりとも休みだが、俺はやらなければいけない仕事がたくさんあり、秋華も実家に帰ったり友達と会ったりと、昼間は別行動をしている。

 俺は多少無理をしてでも秋華と過ごす時間を取ろうとしていたが、彼女にしてみればもっと自由が欲しかったかもしれないと最近は思う。

 ただ、お互いが家にいる時は、挨拶とキスだけは必ずするようにしている。このスキンシップさえもしなくなったら本当に夫婦とは言えなくなってしまう気がして、ルールの中に入れておいた。

 それは秋華も同じ考えだったらしく、このわずかな触れ合いを大事にしてくれているように思う。

 一日の終わりに彼女のぬくもりを抱きしめて唇を重ねると、それだけでとても幸せなことだと感じられるようになった。

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